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リーマンショック以降の各国の対策

2008年9月にアメリカで勃発したリーマンショック、これが直接的な原因で世界同時不況を引き起こしてしまいました。各国の株価は暴落を繰り返し、通貨の価値も下落していますよね。 そこで、FX取引を行う上で知っておきたい点として、 「リーマンショック以降の各国の対策!」 というものを紹介してみましょう。 FX初心者の方には難しいかもしれませんが、 FX取引を行う上で経済ニュースを分析するのはとても大切なので、ここで少しでも経済ニュースに対する興味を深めてくださいね。


日本の場合

まず、私たちの国、「日本」から見ていきましょう。正直言って、日本ではまだ根本的な対策が見えていません。深刻な不景気の中、「景気刺激だ!」とか言って、 総額2兆円もの「定額給付金」が検討されていますが、ある程度の効果はあるものの、根本的な解決になるとは思えないのです。

そんな中… とんでもない「経済対策」を耳にしました。「政府紙幣の発行」 というものです。 お金には、「硬貨(小銭)」と「紙幣(お札)」の2種類があります。紙幣は「日本銀行」が発行しているものであり、 必ず「日本銀行券」と書かれています(一度チェックしてみましょう!)。一方、硬貨は「政府」が造幣局で発行しているものなので、硬貨にはどこにも「日本銀行」の文字が入っていないんですね。 (これも一度チェックしてみましょう!)

現在の法律では、政府としては「硬貨」しか発行することが出来ず、「お札」を印刷することは認められていないんですよ。この法律を、政府でもお札をバンバン印刷できるように改正して、バンバン印刷してそれを日本中にばら撒こうという政策です。「政府」が発行する「紙幣」だから、 この政策を「政府紙幣の発行」というのですね。

この政策案は自民党内から出ているようですが、さすがに、「そんなアホな…」と、思ってしまいましたよ。 政府紙幣をバンバン印刷してばら撒くというのは、ジンバブエの様な独裁国家がよくやるような政策で、急激すぎる「インフレ」と「通貨の下落(円安)」を進行させてしまいます。たしかに、現在の経済状況では「デフレ&円高」が懸念されているので、多少は「インフレ&円安」の対策を立てる必要があります。 しかし、政府紙幣の発行ではその効果が「大きすぎる」のです。

たとえば、軽い風邪をひいただけなのに、全身麻酔の手術を受けるような感じです。つまり、「インフレ&円安」の方向性としては間違っていませんが、大きすぎる効果は逆効果以外の何物でもありません。こんな馬鹿げた政策を検討するなんて、民主主義の先進国家では考えられないことであり、日本に対する、そして日本円に対する国際的な信用が失墜する可能性があります。

アメリカの場合

アメリカの場合 「サブプライム」と「リーマンショック」の発信元であり、今回の不況のダメージを最も大きく受けている国でもあります。アメリカの経済を支えてきたのは製造業であり、「GM」や「フォード」、「クライスラー」といった自動車「ビッグ3」が、アメリカの繁栄を象徴する存在でもあったんですね。ところが、リーマンショック以降、製造業はガタガタになり、アメリカでの失業者事情は日本より深刻です。

そこでアメリカがとった経済政策とは…「莫大な公的資金の注入」 です。1920年代、世界大恐慌があったことは、社会の授業でも習いましたよね。その時、アメリカは莫大な公的資金を投入することで、市場の現金枯渇を防ぎ、お金の流れを保つことに成功したのです。そして、世界大恐慌から脱出できたという「歴史」を持っているんですよ。今回も同じように、被害がこれ以上ひどくなる前に、 公的資金を市場に投入しようとしているのです。

と、ここまではよくある話なのですが、驚くのはその「金額」です。なんと、日本円で「100兆円規模」の資金を投入しようとしているんですね。この経済対策、議会を通過するかどうかは疑問ですが、実現すればオバマ大統領の歴史的な政策になることは間違いないでしょう。アメリカが今回の不況で抱える課題は2つあります。

1.経済基盤の強化
2.金融市場の安定

経済基盤を強化することで、現金の枯渇を防ぐことが出来ますし、金融市場の安定を図ることで、お金の流れをスムーズにすることができます。オバマ大統領は、この2点を同時に行おうとしているんですよ。100兆円規模にも上る公的資金の投入には、このような「思惑」が隠されていたのです。

しかし… このアイデアは、まさに「両刃の剣(もろはのつるぎ)」と言えます。100兆円規模の公的資金の投入で、そりゃあ、市場は安定するでしょうし、かなりの効果は期待できるでしょう。ところが、肝心の「財源」はどうなるのでしょうか?日本のように「政府紙幣」を発行することを考えているのでしょうか? いえいえ、アメリカの場合、この100兆円の財源を、「赤字国債」でねん出しようとしているんですね。つまり、「借金」で100兆円を作ろうとしているのです。

この法案が議会でもめているのも、「借金で100兆円!馬鹿じゃないの!!」 という意見が多くあるからなのです。「100兆円もの借金をして、市場の安定を図る…」成功すれば歴史的な「英断」としてヒーローになれるでしょうが、その後の「ツケ」を考えればとても実行するに怖いものです。しかし、そうこう悩んでいるうちにも失業者は増えていますし、いつまでも結論が出ないままでは何も進まないのも事実です。

さてさて… オバマさんは次の一手をどうするのか… アメリカ経済は日本経済にも大きく影響しますので、 日本人としては注意して見るべき法案と言えるでしょうね。

欧州連合の場合

欧州連合に加盟する多くの国は、「ユーロ」という、統一通貨を採用しています。今回の世界同時不況で、「ユーロ」の存在は大きかったと思いますよ。今、世界の経済はお互いが複雑に絡み合っており、このような世界同時不況になると、1国の政策だけでは根本的な解決にならないのが現状です。 なので、関係の強い国々が同時に政策を行うことが大切なんですね。

ユーロは複数の国が採用していますので、「足並みをそろえて行動する」 という意味では最適な環境でした。ヨーロッパにはユーロを採用していない国もあります。イギリスやデンマーク、バルト3国なんかがそうですね。

たとえばイギリスの場合、ドルに対するポンドの下落率は、なんと30%近くにもなっているんですよ。 また、デンマークのクローネも対ドルで30%近い下落になっています。短い期間で通貨価値が30%も下落するなんて異常です。国際的な経済活動に大きな支障が出てしまいますしね。

ところが、ユーロは対ドルで10%ほどの下落しかしていません。これは、複数の国々が、同じ政策を同じタイミングで行った証拠です。つまり、 「ユーロを採用している国々でタッグを組み、今回の世界同時不況に結束して立ち向かっている」ということが言えるんですよ。1国では対策に困るようなものでも、タッグを組めば話は別物です。こうやって、対ドルや対円で下落はしたものの、なんとか下落率だけは小さい幅に収めることが出来ているんですね。

このような流れから、「じゃあ、私たちの国もユーロを採用しようじゃないか!」 という国が増えるのは自然な流れです。統一通貨の「利点」とは、お金の「往来」がやりやすくなることで、経済活動を協力して行うことが「容易になる」ということです。もし、ヨーロッパ各地でユーロ採用が加速すれば、 世界の経済の構図は大きく変わるかもしれません。

ところで、「世界の工場」と聞いて、皆さんはどの国を思い浮かべますか?そうです。やっぱり「中国」ですよね。安い労働力と広い国土を持っている国ですから、世界中の会社が中国に工場を建てているんですよ。しかし、「安い労働力」という意味では、ヨーロッパにも魅力的な国はたくさんあります。先ほど紹介した「バルト3国」もそうですし、「ハンガリー」なんかもそうですね。もしこれらの国々がユーロを採用したとすれば、ユーロを採用している国々からすれば取引がやりやすくなりますし、 「それじゃあ、中国よりヨーロッパに工場を建てよう!お金のやり取りも簡単だし、物理的な距離も近くなるからね。」という動きが加速する可能性があると言えるんです。

先ほど、「世界の経済の構図が大きく変わるかも…」ということを説明しましたが、この流れが加速すれば、まさに「世界の構図が変わる」かもしれないのです。今後、欧州連合の動きとしては、ユーロ採用の国が増えるのかどうか、 私たちも注意して見守る必要がありそうです。

南アフリカの場合

FX取引をやっておられる方の中には、「こんな不況の中で、南アフリカは大丈夫なのか…?」と、思っている人も少なくないでしょう。たしかに、この世界同時不況の中で、南アフリカの政策金利はすごいですよね。アメリカですら実質ゼロ金利政策を打ち出しているのに、南アフリカの政策金利は10%ほどで推移しています(2009年2月現在)。「ひょっとして… 強気に出ているだけではないのか…?」 とか、「財政破たんを起こしたアイスランドみたいになるのでは…?」 というような不安の声もよく聞こえてくるのです。「大丈夫です!そんなことはありません!」 と、声を大きくして言えることではありませんが、今のところ、「ダメージを隠している」という雰囲気ではなさそうです。

アメリカのオバマ大統領が、「グリーンニューディール政策」 という政策を打ち出しているように、環境問題を意識した事業への投資が活発に行われようとしています。南アフリカの最大の「強み」は、まさにそこにあります。南アフリカがこれほどまでに急速に成長した裏側には、「エタノール事業」 というものがあります。石油に代わる「エコ燃料」として脚光を浴びているんですね。しかも南アフリカには、まだ開発可能な土地が広大に残っています。開発自体が「環境破壊」と言えばそれまでですが、エタノール事業は今後も間違いなく拡大するでしょう。となれば、世界のエネルギーに関する勢力図も大きく変わることになります。これまではアラブ諸国が実権を握ってきたエネルギーの世界ですが、これからは南アフリカが実権を握るようになるかもしれません。なので、世界同時不況の中でも高い金利を維持できるのです。

また、「中流層の増加」も忘れてはならない現象です。中流層と言うのは、金持でないにしろ、貧乏でもない人たちのことです。日本でも高度経済成長期のころ、年々上がるお給料を片手に、一般庶民でもショッピングを気軽に楽しむようになりましたよね。これと同じように、南アフリカでも上がるお給料を片手に、一般庶民による「消費」がどんどん拡大しているのです。消費が拡大すると、お金の流動性が高くなるので、 景気だって良くなるのは言うまでもありません。つまり、南アフリカのリーマンショックへの対策とは、 「エタノール事業をさらに拡大して、エネルギー市場での大きな影響力を持つ」 そして、 「その利益をお給料という形で国民に還元して、さらに消費の拡大を図っていく」 ということが言えるのです。

実際、この動きはすでに活発になってきており、世界の南アフリカに対する対応も以前とは変わってきているのです。それに、南アフリカはダイアモンドの世界最大産出国でもありますし、 やっぱり「資源」って国に大きな利益をもたらすものなんですね。

「BRICS」の場合

「BRICS」という言葉、皆さんご存知ですか?これは、「Brazil(ブラジル)」、「Russia(ロシア)」、「India(インド)」、「China(中国)」、この4つの国の頭文字をとったもので、「S」は英語の複数形を意味するものです。

ブラジル、ロシア、インド、中国… これらの国々は「新興国」とも呼ばれており、近年、急速に発展してきた国でもあります。しかし、海外からの「投機」によって発展したとも言えるんですね。したがって、国内経済の基盤はまだ脆弱であり、海外からの投資がなくなれば、一気に「冷める国々」でもあるのです。そんな中、リーマンショックがこれらの国々を襲いました。安い労働力や天然資源で潤ってきた国だけに、このダメージは計り知れないものがあったのです。とくに世界の工場と呼ばれている中国の現状は悲惨です。製造業が一気にガタ落ちしてしまったので、失業者も一気に増えてしまいましたし、不動産バブルの崩壊で地方からの出稼ぎの方も職を失いました。また、2008年初頭の石油価格の異常な高騰で、これまでにない好景気を記録したロシアでも、石油価格の下落とともに投機マネーも姿を消し、「あの時のお金はどこへやら…」 という感じなのです。新興国として急速な発展を見せてきたこれらの国々も、国内経済の基盤はまだまだ脆弱ですので、やはりこの不況に対する根本的な政策はまだ見えていません。立て直しをしようとも、その「地力」がないんですね。

その中でも中国とインドはまだマシと言えるでしょう。10億人以上という巨大な人口を抱える国なので、巨大な消費マーケットとして注目を集めているのです。日本からも、大手のスーパーやコンビニ、 家電業界も中国やインドへの進出を進めています。人がたくさんいれば、それだけ「物品」が必要になりますので、やはり人口が多いというのは巨大なマーケットになり得るのです。このように消費が拡大しますと、お金の流れが生まれますし、景気刺激が進んである程度の経済効果が期待できます。なので中国とインドは「まだマシ」と言えるんですよ。

ところが… ロシアとブラジルはそうもいきません。消費大国としての魅力が中国やインドほどではないため、やはり「資源」に頼る政策を中心に進めるしかないのです。しかし、肝心の資源の実権は南アフリカが握りつつあるし… やはり、投機マネーによる国の発展とは、一気に国を「押し上げる力」を持っているものの、逆を言えば一気に「下げる力」も持っているものなのです。